ドローン超大国・中国のすごすぎる最新事情

コラム

遠隔操作できる小型無人航空機、ドローン。
中国語では“无人机 wú rén jī”と言います。
日本でも数年前から一般的に普及してきたので、ドローンで空撮した絶景を観る機会も増えてきましたね。まるで空中散歩をしているかのような迫力ある映像に、技術の進歩を感じます。

さて、皆さんはドローンの世界最大メーカーはどこの国の企業かご存知ですか?
はい。お察しの通り、答えは中国企業です。
中国のシリコンバレー・深圳に本社があるDJI社(Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd./大疆创新科技有限公司)という会社で、なんと民生用のドローン市場で世界シェアの7割を占めているそうです。すごいですよね。

この記事では、ドローン超大国となった中国のすごすぎる最新事情をお届けします。

ここまで進んでいる!中国ドローン事情

ドローンが活用されている場面

中国に限定した話ではありませんが、ドローンが活用される場面には、主に次のようなものがあります。

空撮映画やドラマ、ドキュメンタリー、観光PR等映像の現場で大活躍。
農作業農薬散布の重労働を軽減できるほか、農作物の状態や
作業工程をデータ管理できるというメリットがあります。
配達ドローンによる宅配便サービスは、中国では既に実用化されています。
土木・建設  ドローンによる測量を行うことで、時間の短縮かつ低コスト化が実現。
人手不足・工事単価の高騰といった課題を解消しています。
災害救助消防・物資の運搬等、災害時でもドローンが活用されています。
警備中国ではドローンパトロールで、シートベルトやマスク着用
の取り締まりが行われています。
エンタメ中国では近年、夜空を彩る花火に代わる演出として、
ドローンイルミネーションが話題を集めています。
軍事残念ではありますが、ミサイル搭載型のドローン等
軍事目的で開発されているものもあります。

様々な分野で導入されているドローンですが、今後その市場規模は更に拡大することが期待されています。

完璧でなくても、取り合えずPDCAを回す中国

例えばドローン宅配便ですが、日本でも実証実験が行われましたが、まだ実用化には至っていません。
その理由として、ドローン操作の安全性の問題でしたり、事故があった場合の責任の所在、プライバシー保護の問題等クリアにしなければならない課題が多々あるからだそうです。
しかし、中国ではこうした問題を度外視して、既に実用化を実現しています。

どちらが正しいと一概には言えませんが、リスクを回避し完璧を目指そうとする日本と、完璧でなくても取り合えずPDCAを回しながら改善を積み上げ世界をリードしている中国とでは、かなり差が開いてしまっているなと感じます。

DHL社と中国のドローンメーカーEhang社(Guangzhou EHang Intelligent Technology Co. Ltd/广州亿航智能技术有限公司)が提携し、全自動ドローン配達サービスを提供しているのですが、こちらの動画を観ていても、中国のハイテク産業の発展スピードには驚かされます。

ちなみに、実用化はまだみたいですが、Ehang社は人が乗れるドローンも作っています。空飛ぶドローンタクシーなんてSFの世界の話かと思っていましたが、もしかしたら近い将来当たり前になるかも知れませんね。

新型コロナ危機下でもドローンが登場

今回の新型コロナの危機下でも、ドローンが様々な場面で導入され、そのプレゼンスはどんどん向上しているように感じます。

具体例としては、コロナで深刻な被害を受けている街へ医療物資等を届けるのに、ドローンが使用されました。ドローンを使うことで人と人が接触せずに済みますし、感染拡大防止対策となるほか、空を飛行し運べるので道路輸送よりも効率も良いとのことでした。

また、世界最大手のDJI社も農薬を散布する用のドローンを利用し、感染エリアに消毒液を散布したというニュースも話題になりました。人の手を用いた従来の消毒剤散布方法ですと、作業を行う人員が感染リスクに晒されることになりますが、ドローンを使えば安心・安全ですよね。こうした場にはどんどん活用してもらいたいなと思います。

そのほか、スピーカーを搭載したドローンを使い、街中をパトロールしている様子もニュースになりました。もしかしたらテレビ等でご覧になった方も多いのではないでしょうか。
公共の場で集まっている人々に対して解散を促したり、マスクをつけていない人に向かってマスク着用を呼び掛けたり、遠隔で体温チェックもできるそうです。
街中を歩いていて突然ドローンに注意されたら、びっくりしてしまいますよね。

ドローンが描く光のアート

エンターテインメントの世界でも、ドローンは大活躍しています。
中国の大型イベントではここ数年、花火ではなく、LEDを取り付けた小型のドローンを夜空に数百機飛ばし、空に文字や絵を描くショーが人気となっています。
花火は花火ならではの独特の風情や味わいがあるので、個人的には大好きですしなくなっては欲しくありませんが、ドローンの演出もすごい…。
ご興味がある方は、下記リンク先にあるWebサイトをのぞいてみてください。DYPHOON社という中国のドローン演出会社のサイトでして、ドローン演出動画作品がたくさん掲載されています。

https://www.dyphoon.cn/jcal.html

最後に

この記事を書いていて、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の大ヒットSF映画『マイノリティ・リポート』(2002年)を思い出しました。
この映画をはじめて観た時は、かなり先の未来が描かれていると思っていましたが、ハイテクを駆使した中国ではもう既に『マイノリティ・リポート』の世界が実現されています。近未来感、半端ないです。衝撃的…。
中国に語学留学ではなく、ハイテクを学ぶために留学する人も将来的には増えていくかも知れないなと思います。

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